理想の薬歴

最初に働いた薬局で「SOAPは起承転結だ」と教わって、当時調剤未経験だった私でもそれはちょっと違うんじゃないかと思ったものだけど、その後数か所の薬局で働いて、SOAPの書き方は人によってまちまちだとよく分かった。

私の観測によると、大きな分類として「指導した内容」をOに書く派とPに書く派とが存在する。O派はPに「次回の指導方針」を書く。厚労省が求めている「継続的な服薬指導」を実施するには、この書き方が適しているのかもしれない。私個人としてはP派の書き方が好きだ。投薬の内容がその回の薬歴の中できっちり完結する後腐れのない感じがよい。

私がSOAPの理想形だと思っているのは、この本で提唱されている書き方だ。

岡村祐聡(2010)『POSを活用するすべての医療者のためのSOAPパーフェクト・トレーニング』診断と治療社 http://www.shindan.co.jp/books/index.php?menu=10&kbn=1&cd=176300

ただ、実際にはこの本の通りに書くのは難しい。今まで働いてきた職場で、薬歴をプロブレムごとに分類して書いていたところはない。一回の投薬の内容はすべて一つのSOAPにまとめる。SOAPの形で書いてはいても、プロブレムネームが付いていることはまずない。たまに付いていても「#疾患名」だとかで、それは薬剤師が解決できるプロブレムではない。

そのように運用されているものを、ヒラ薬剤師の私が変えるのはあまり現実的ではない。なので、なるべく整合性の取れたSOAPをと思いつつも、実際には「ごった煮薬歴」を量産してしまっている。