薬局薬剤師の私がなぜWeb校正の仕事を始めたのか

その日も私はいつものように薬局の仕事の一つとして調剤録のチェックをしていた。処方せんを左に、調剤録をその右に置き、シャープペンシルの先で文字を辿りながら両者の内容に間違いがないかを確認していく。患者氏名、生年月日、保険情報、処方内容、と順に照らし合わせていくうちに、ひょっとして本の校正ってこんな感じなのかなと、ふと思った。

帰宅後にネットで調べて、校正の通信講座があると知ったので即申し込んだ。ほどなくして教材が届き、実際に取り組んでみた。校正は面白かった。もともと本を読むのが好きな私には合っていたのだろう。そして、思った通り調剤録のチェックは引き合わせ校正によく似ていた。

そんなこんなで講座を修了し、その流れで検定を受け、ちょうどそのタイミングで募集していたWeb校正者向けのオンラインサロンに入会し、そこで教わったやり方でクラウドソーシングサービスに登録して、細々とではあるが仕事がもらえるようになった。こうして薬局の仕事はWeb校正の仕事につながったのである。

理想の薬歴

最初に働いた薬局で「SOAPは起承転結だ」と教わって、当時調剤未経験だった私でもそれはちょっと違うんじゃないかと思ったものだけど、その後数か所の薬局で働いて、SOAPの書き方は人によってまちまちだとよく分かった。

私の観測によると、大きな分類として「指導した内容」をOに書く派とPに書く派とが存在する。O派はPに「次回の指導方針」を書く。厚労省が求めている「継続的な服薬指導」を実施するには、この書き方が適しているのかもしれない。私個人としてはP派の書き方が好きだ。投薬の内容がその回の薬歴の中できっちり完結する後腐れのない感じがよい。

私がSOAPの理想形だと思っているのは、この本で提唱されている書き方だ。

岡村祐聡(2010)『POSを活用するすべての医療者のためのSOAPパーフェクト・トレーニング』診断と治療社 http://www.shindan.co.jp/books/index.php?menu=10&kbn=1&cd=176300

ただ、実際にはこの本の通りに書くのは難しい。今まで働いてきた職場で、薬歴をプロブレムごとに分類して書いていたところはない。一回の投薬の内容はすべて一つのSOAPにまとめる。SOAPの形で書いてはいても、プロブレムネームが付いていることはまずない。たまに付いていても「#疾患名」だとかで、それは薬剤師が解決できるプロブレムではない。

そのように運用されているものを、ヒラ薬剤師の私が変えるのはあまり現実的ではない。なので、なるべく整合性の取れたSOAPをと思いつつも、実際には「ごった煮薬歴」を量産してしまっている。

薬剤師免許証携帯の最善手

薬剤師免許証というのはムダに大きい。B4サイズの賞状という様式である。携帯義務はないので常日頃は困ることはないが、職場が変わった際(これには同じ会社内での店舗異動も含む)には役所に原本を持参して手続きをする必要があり、どのように持って行くか頭を悩ますことになる。

それなりに苦労して取った資格であるので、免許証は折れたり破れたりしないよう丁寧に扱いたい。私の周りでは、そのために賞状用の筒を購入したという人が多かった。他にはハードタイプのクリアファイルに入れている人もいた。しかし、これらはどちらもかさ張る。クリアファイルなんて結局B4サイズのままなわけで、これではカバンに入らない。

そこで私が使っているのが、ラップの芯である。丸めた免許証を中に入れて持ち運ぶ。丈夫でコンパクト、かつ安価で入手可能。賞状筒と比べても二回りは小さい。これに優る薬剤師免許証の携帯手段はない、と私は確信している。

唯一の難点は、薬剤師免許証が中に入っていると思われないことだ。会社の薬事担当者に手渡したときには「なにこれ、ホントに入ってるの?」と笑われ、社内便で他の荷物と一緒に返却されてきたときには中身を確認したスタッフにゴミだと判断され捨てられるという少々笑えない事故を起こしかけたこともある。

なので、最近ではその対策として、ラップの芯ごと長封筒に突っ込むことにした。芯の半分くらいは封筒から飛び出しているので見た目のエレガンスさには欠けるが、それは甘んじて受け入れている。

「洗口液」と「液体歯みがき」

「洗口液」と「液体歯みがき」って一緒くたにされがちだけど別物なんだよね。

「洗口液」=「マウスウォッシュ」
通常はブラッシングによる歯みがきにプラスαで使う
だから、ブラッシングしたあとに口をすすぐ
殺菌・消炎目的で、ブラッシングせずに単品で使う場合もある
「液体歯みがき」=「デンタルリンス
ペースト状の歯みがき剤の代わりに使う
だから、口をすすいだあとにブラッシングする
殺菌・消炎成分に加えて、汚れを吸着する成分が入っている

まあ、どっちがどっちでも構わないけどね。気に入った商品を使えばそれでいい。ただ、売る立場としてはきちんと違いを分かっておきたい。

【漢方薬・生薬研修会】試問対策

日本薬剤師研修センターで実施の漢方薬・生薬研修会の試問のために勉強したことのメモ。

まずは過去問。これをやらなきゃ話にならない。

古典についてはこのwebページ(→中国本草書の基礎知識)、確認試験についてはこのwebページ(→生薬の理化学的評価(日本薬局方確認試験))をいつも参照していた。

今回一番重宝したのがこの本(→生薬単)。これのおかげでようやく生薬と基原植物の名前とビジュアルが結びついてきた。めちゃおすすめ。

ナツメ

日々穏やかに過ごすための精神的安定というのは漢方薬の効果として私が大いに期待するもので、実はこれまでにいくつかの市販薬を試しに飲んでみたことがあるが、これぞという処方にはまだ巡り合っていない。そして今回新たに試してみようと思ったのが甘麦大棗湯である。常日頃から甘い食品を好む私にはピッタリの処方なのではないかと思われた。

しかし甘麦大棗湯はあまりメジャーな処方ではないため、市販薬を取り扱っているメーカーがほとんどない。そこで私はこう考えた。

甘麦大棗湯の構成生薬は甘草、小麦、大棗の3つ。そのうち甘草について、その脾胃を補う働きは大棗でカバーできるのではないか、また偽アルドステロン症の副作用も心配であるので、今回飲むのはやめておこう。小麦はとりあえず小麦粉でいいんじゃなかろうか。なので必要なのは大棗=ナツメだけだ。

ということで、成城石井とカルディでドライフルーツのナツメを買ってきた。成城石井のほうが150g(10粒)で260円、カルディは120g(8粒)で198円。どちらも1粒15gで25円くらい。

中国には「1日3粒のナツメを食べると老いない」という言葉があるんだそう。3粒だと中途半端に余るので1日2粒ずつ、しばらく食べてみてその効果のほどを検証したい。

紫河車

紫河車(しかしゃ)という生薬の標本を見せてもらった。手のひらに乗るほどの大きさで、白っぽい、楕円体を半分に割ったような平たい形の塊だった。「これはヒト由来なんだけど、どこの臓器か分かる?」という講師からの質問に対して、ヒト由来などということがありえるのか? 臓器を使ってしまったら、そのヒトのカラダは大丈夫なのか? と疑問が頭の中で渦巻いたが、「胎盤」との答えに納得した。

ヒト胎盤の使用には感染症のリスクがあるため、現在日本では医療用医薬品としてヒト胎盤抽出物の注射剤が承認されているのみで、その他の一般用医薬品や健康食品には主にブタ由来の胎盤が使用されている。中国でもヒト胎盤の流通は法律で規制されているはずだが、その講師によると「そこらで普通に売っていて、さすがだと思った」とのことだ。

その講師はさらに日本でのエピソードとして「知り合いの女医さんが自分の出産時に医師に頼んで胎盤を採取し、その自分の胎盤を使って紫河車を作った」という興味深い話を聞かせてくれた。自家製紫河車である。ヒト胎盤は医薬品扱いだが、自分で作って自分で食べる分には法的な問題はないそうだ。その紫河車は女医さんに食べられ、その身となり還元されたのだろうか。もったいなくて食べられないような気もする。いずれにせよ、紫河車の秘めたる可能性に恐れいったものである。